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福井地方裁判所 昭和55年(わ)53号 判決

本籍

福井県武生市蓬莱町一四二番地の三

住居

同市同町三番一〇号

婦人服小売業

明城準一郎

昭和一三年一一月一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官柚木園淳出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一五、〇〇〇、〇〇〇円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金三〇、〇〇〇円を一日に換算した期間労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、福井県武生市蓬莱町三番一〇号の自宅及び同市内二箇所に店舗を設けて婦人服小売業を営んでいるものであるが、

第一  昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額は四七、八四八、三五九円で、これに対する所得税額は二二、九五六、九〇〇円であるのに、現金売上の一部を除外し、その資金で仮名及び家族名義の預貯金、債券等を取得するなどの不正の方法によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五二年三月一四日武生市中央一丁目六番一二号所在の武生税務署において、同税務署長に対し、所得金額は四、七一九、七四六円で、これに対する所得税額は五一五、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同事業年度の所得税二二、四四一、八〇〇円を免れ

第二  昭和五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額は四二、二七七、九〇〇円で、これに対する所得税額は一九、一八〇、四〇〇円であるのに、前同様の方法によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五三年三月一五日前記武生税務署において、同税務署長に対し、所得金額は四、八六五、八七八円で、これに対する所得税額は五一二、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同事業年度の所得税一八、六六八、三〇〇円を免れ

第三  昭和五三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額は五五、五〇二、四〇二円で、これに対する所得税額は二七、七二三、七〇〇円であるのに、前同様の方法によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五四年三月一五日前記武生税務署において、同税務署長に対し、所得金額は二、四七四、三〇四円で、これに対する所得税額は一〇九、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同事業年度の所得税二七、六一三、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人の当公判廷における供述並びに検察官に対する供述調書

一、被告人作成の上申書四通及び大蔵事務官に対する質問てん末書六通

一、明城道子の大蔵事務官に対する質問てん末書三通及び検察官に対する供述調書

一、査察事件調査事績報告書計二九通

一、向井勇蔵、稲葉美枝子、村谷正歩、佐竹武男、西岡正道、西岡義勝、藤原昭雄、上条十止栄の供述書

一、本田正弘、竹内治二、橋本武士、三田村幸雄、斉藤一夫、坂上幹男、前田実、服部與兵衛、加藤孝一郎、塚谷敏孝、田島清喜、井上篤、小林秀樹の上申書

一、藤井清士(二通)、中野清次の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、宇野秀治郎の答申書

一、押収にかかる売上日記帳一冊(昭和五五年押第二四号の一)、日計簿三冊(同号の二)、仕入帳満期抜取分五綴(同号の三)、仕入帳三綴(同号の四、五、六)、棚卸メモ(同号の一〇)

判示第一の事実につき

一、佐々木豊作、木村孝司の上申書

一、広部敏幸(証拠等関係カード番号2)、井汲某(株式会社イサム)の証明書

一、押収にかかる棚卸表二綴(同号の七)、領収書二枚(同号の一一、一四)、領収書等綴一綴(同号の一二)、雑書類一綴(同号の一三)

判示第二の事実につき

一、広部敏幸の証明書二通(証拠等関係カード番号3、4)

一、押収にかかる棚卸表一綴(同号の八)

判示第三の事実につき

一、広部敏幸の証明書一通(証拠等関係カード番号5)

一、株式会社ワールド東京店の取引照会回答書

一、小松順子の証明書

一、押収にかかる棚卸表一綴(同号の九)

(法令の適用)

被告人の判示第一、第二、第三の各所為は、いずれも所得税法二三八条一項、一二〇条一項三号に該当するところ、いずれの罪についても所定刑中懲役刑に罰金刑を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから懲役刑については同法四七条、一〇条により犯情もっとも重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により各罰金額を合算し、その範囲内で被告人を懲役一年及び罰金一五、〇〇〇、〇〇〇円に処し、同法一八条により被告人が右罰金を完納できないときは一日を金三〇、〇〇〇円に換算した期間被告人を労役場に留置し、懲役刑については同法二五条一項により三年間その執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 宮本増)

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